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相手は「日本人の30%がガンで死ぬのだから、1年100ミリ被曝しても0.5%しかガンにならないのだから、大したことはない。60分の1だ」と言います。これにはトリックがあるのです。
一つは、1年間と一生を隠して比較していることです。1年100ミリ被曝するということはそれによってガンになる確率が0.5%であると言うことです。だから、「日本人の30%」ではなく、1年で33万人、つまり0.27%が普通に1年でガンで死亡する確率なので、それに再発率を考慮して0.45%になります。
また、80歳以上で死亡した原因がガンだったというのと、10歳の子供が被曝によってガンになり、死亡するのとではまったく違うので、子供のガンを比較しなければなりません。小児ガン(0-14歳)の発生率は10万人あたり8人で、全年齢では270人(男女に分けると平均135人)と比較すると34分の1です。
最近、ガンが増えてきたのは発がん物質が急に増えたのではなく、寿命が延びたからだ。ガンというのはある種の自己的な病気で、どうしても年をとると遺伝子などに傷ができてガンになる.普通は60歳までのガンというのは少ない。
数字で言うと、60歳までは10万人あたり50人レベルだが、80歳になると2500人となり、実に50倍になる。普通のガンが「老人病」であることがハッキリわかる。
これに対して、被曝については広島原爆の例では、白血病では10歳以下は全年齢に対して3.4倍、白血病以外は2倍で、平均して3倍程度である。従って、若年のリスクという点だけでは、普通のガンに対して被曝のガンの危険性は150倍にもなる。
やや、ややこしい数字だが、これも広島原爆の記録を見ると、10歳以下で被曝した子供が20歳までに死亡した確率は、10歳以下で被曝しなかった子供に比べて44倍(原爆被爆データ。日本アイソトープ協会からICRPに報告した1992年発表)とされている。