2013.10.29 05:00
【甘口辛口】日本S第2戦で明らかな誤審…ビデオは無用、と言わせる判定願う
■10月29日
「えっ、あれがセーフ?」と一瞬目を疑った。日本シリーズ第2戦の七回。楽天・藤田が二塁へ高く弾むゴロを放ち、一塁にヘッドスライディングした内野安打だ。巨人の一塁手ロペスが捕球したとき藤田の左手はベースの30センチほど手前だった。何よりも翌28日の小紙はじめスポーツ各紙の写真が、完全にアウトを証明していた。
二死一、三塁だったので楽天は1点を追加し2-0となった。レギュラーシーズンの防御率が1・27の楽天・田中にとって、2点目は勝利を意味する。逆に巨人にとっては敗戦を意味する2点目だけに大きい。直後の八回、巨人・寺内の本塁打が出て1点差になり、余計この1点が重みを持った。
野球は審判がセーフといえばセーフ、アウトといえばアウト。それで成り立っているとはいえ人間が見る以上、見間違えは不可避でもある。今回は「絶対セーフに」と頭から滑り込んだ藤田の“執念”が、審判を惑わせたのかもしれない。こうした勝負の綾が、その後の流れまで変えることもあるのがシリーズの怖さだ。
レッドソックスが2勝2敗のタイに持ち込んだワールドシリーズ初戦でも「誤審」があった。二塁のカバーに入ったカージナルスの遊撃手が明らかに落球しながら「アウト」となり、審判団が協議して「セーフ」に覆った。他の審判が知らん顔せずに誤審を認めたのは、審判の権威を振りかざす大リーグだけに驚きだった。
大リーグでは来季からストライク、ボール以外の全てのプレーにもビデオ判定が導入されることで、審判が先手を打ったのか。東京ドームに舞台を移すシリーズ。日本の野球にはビデオは無用、と言わせるような的確な判定を願いたい。(今村忠)
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