東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷容疑などで告発され不起訴となった東電の勝俣恒久元会長(74)ら旧経営陣3人の再捜査で、津波や設備工学などの専門家が東京地検に「津波対策を取っても事故は防げなかった可能性が高い」と説明していることが分かった。地検は、津波の予見が難しかったことに加え、事故の回避も困難だったとし、近く3人を改めて不起訴とする。
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検察審査会は再び審査を実施する。再度「起訴すべきだ」と議決すれば強制起訴となる。
東電は2008年に津波水位が最大15.7メートルになると試算していた。地検は最初の捜査で「試算は最も過酷な条件設定に基づくもので、具体的に事故を予見できたと認めるのは困難」と不起訴にした。これに対し検察審査会は昨年7月、「津波は予測できた」と指摘。(1)配電盤や発電機の高台設置(2)建物の防水化−−などをしていれば事故が回避、軽減できたとして「起訴相当」と議決した。
地検は再捜査で、旧経営陣に加え、改めて地震や津波、設備工学などの専門家から聴取。事故は予見できず、(1)や(2)の対策をとっても浸水被害は防げなかった可能性が高いと判断したとみられる。【吉住遊】
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