福島第一原発汚染水(9月3週)―外洋のストロンチウム90が一気に4倍―
福島第一原発汚染水の9月3週(9月13日から20日)の状況を纏めてました。先週に続き(1)、過去最高濃度(新記録)の放射性物質が見つかっています
①外洋のストロンチウム90濃度が一気に3倍
②地下水バイパス井戸2カ所や山側井戸から過去最高のトリチウム
③護岸付近の井戸からは今週も過去最高の放射性物質
④福島第一原発の排水路からは法令限度を超えた汚染水は「海」へ
⑤タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇
⑥サブドレイン1週間、トリチウム排出量は14億ベクレル
1.外洋のストロンチウム90濃度が一気に4倍
外洋からストロンチウム90等の放射性物質が見つかっています。
※1 (4)(5)(6)(7)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
※5 SR90はストロンチウム90を示し、サンプリング日は8月3日
図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度
(=^・^=)が気になったのはストロンチウム90です。外洋2地点から見つかっています。以下に5,6号機放水口北側のストロンチウム90濃度を示します。
※(5)を集計
図―2 5,6号機放水口北側のストロンチウム90濃度
前回(7月6日)の測定では1リットル当たり0.18ベクレルでしたが、今回(8月3日)の測定では0.66ベクレルと一気に4倍になっています。もう一つ気になることがあります。もっと気になったのはこの時のセシウム137の濃度は1リットル当たり0.53ベクレル未満(検出限界未満)で(9)、値は分かりませんがセシウム137の濃度を超えています。でも厚生労働省は食品中のストロンチウム90についてセシウムに対して一定の割合を想定して基準値を設けているので検査しなくても「安全」だと主張しています(10)。
2.地下水バイパス井戸2カ所や山側井戸から過去最高のトリチウム
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(11)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(12)(13)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(13)。以下に放射性物質濃度を示します。
※1 (12)(13)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 地下水バイパスNo10井戸は東電以外(第三者機関)の測定
図―3 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
このうち地下水バイパスNo3(14)、No10(第三者機関測定)(15),G-1井戸とG-2井戸(16)のトリチウムは過去最高です。またE-2井戸の全ベータはこれまで検出限界未満(ND)か1リットル当たり20ベクレル台だったので、突然の上昇です。
この中で気になったのがG-1、G-2井戸のトリチウムです。以下に推移を示します。
※(12)を集計
図―4 G-1,G-2井戸のトリチウム濃度
これまでも急上昇はあったのですが、ここまで上がったことはありません。
原発事故から4年半たっても場所によっては放射能汚染が酷くなっています。
3.護岸付近の井戸からは今週も過去最高の放射性物質
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。
※1 数値は1リットル当たりのベクレル数
※2 集計期間内の最大値
図―5 海岸付近の井戸の放射性物質濃度
このうち1リットル当たりでNo1井戸の全ベータ6,000ベクレルとNo2-3井戸のトリチウム3,400ベクレルは過去最高(新記録)です(17)(18)。以下にNo2-3井戸のトリチウム質濃度を示します。
※(5)を集計
図―6 No2-3井戸のトリチウム濃度
これまでも上昇傾向になったのですが、上昇のペースが早まっています。
福島第一では図―5に示す様に海岸の傍に水の流れを阻止する「海側遮水壁」の工事を進めています(19)。これまで海に流れていた汚染水は堰止められ、放置すると海岸が汚染水だらけになるので汚染水を汲みあげ、トリチウムを浄化せずに海に流すそうです(20)。福島の海のトリチウム汚染がますます酷くならないか「心配」です。
4.福島第一原発の排水路からは法令限度を超えた汚染水は「海」へ
福島第一原発構内にには幾つもの排水路があります。
※(21)を転載
図―7 福島第一原発内の排水路
当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みます。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(8)、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルですので(2)、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。セシウム137の法令限度は1リットル当たり90ベクレルです。このうちK排水路とC排水路では法令限度を超えた汚染水の流れが確認されています。以下に汚染水が流れ出たC排水路の放射性物質濃度を示します。
K排水路では9月12日に法令限度を超える1リットル当たりで
セシウム137 190ベクレル
全ベータ 310ベクレル
の汚染水が流れました。その後も法令限度を超える1リットル当たり60ベクレル以上の全ベータが見つかっています(22)。C排水路では9月11日に1リットル当たり280ベクレルの全ベータが見つかりました(7)。以下にC排水路の全ベータ濃度を示します。
※(7)を集計
図―8 C排水路の放射性物質濃度
C排水路でも法令限度を超える汚染水が海に流れています。東電の発表(23)を見ると排水路は遮水壁を超えて海に繋がっているので、3項に記載した「海側遮水壁」が完成しても排水路の汚染水はブロックされません。図―7に示す様のこれまでC排水路で法令限度を超える全ベータが見つかる事はあまりななっかので、これまでとは違う事態が起きているのかもしれません。
なおK排水路の放射性物質濃度については昨日(9月19日)の記事(24)に記載したのでそちらをご覧ください。
5.タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇
福島第一原発のタービン建屋の海の間には地下に埋設された放水路があります。
※(25)を転載
図―9 タービン建屋と海の間の排水路
ここにも確り汚染水が詰まっています。以下に放射性物質濃度の推移を示します。
※(26)で作成
図-10 タービン建屋と海の間の排水路の放射性物質濃度
一時は下がったのですが再び再上昇です。上昇・下降を繰り返しているので、何処から放射性物質が流入し、流出したのは確かです。名前が「排水路」なので海に繋がっているような気がします。
6.サブドレイン1週間、トリチウム排出量は14億ベクレル
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(27)(28)。9月3日に稼働しました(29)。9月14日に最初の排水をおこないました(30)(31)。今の所は排水があったに日には東電の「日報」(32)に記載されます海に捨てる汚染水の濃度も公表されいます(29)(33)。排水用×濃度の合計で環境中に排出された放射性物質量が計算できますので、累計を取ってみました。
※(29)(32)(33)を集計
図―11 サブドレンのトリチウムの累積排出量
サブドレン開始1週間で捨てられたトリチウムの総量は約14億ベクレルになりました。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
止まる事のない福島原発の汚染水漏れ!福島の方は不安だと思います。9月も半ばを過ぎ福島のモモを終わりで、ナシのシーズンです(34)。でも、福島ではナシが値崩れを起こしているそうです(35)。
※(35)をキャプチャー
図ー12 ナシの値崩れを報じる福島のローカルTV局(TUF)
福島県福島市のスーパーのチラシを見たら(36)、福島県産ナシは1個138円でしたが、他県産は2個480円(1個240円)でした。
※(36)を切り貼り
図―13 他県産に比べ大幅に安い福島産「ナシ」
福島県は福島産ナシは「安全」だと主張していますが(37)、福島の方の評価は低いようです。当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い評価の低い「フクシマ産」は食べません。
①外洋のストロンチウム90濃度が一気に3倍
②地下水バイパス井戸2カ所や山側井戸から過去最高のトリチウム
③護岸付近の井戸からは今週も過去最高の放射性物質
④福島第一原発の排水路からは法令限度を超えた汚染水は「海」へ
⑤タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇
⑥サブドレイン1週間、トリチウム排出量は14億ベクレル
1.外洋のストロンチウム90濃度が一気に4倍
外洋からストロンチウム90等の放射性物質が見つかっています。
※1 (4)(5)(6)(7)で作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(8)
※5 SR90はストロンチウム90を示し、サンプリング日は8月3日
図―1 福島第一原発近傍外洋の放射性物質濃度
(=^・^=)が気になったのはストロンチウム90です。外洋2地点から見つかっています。以下に5,6号機放水口北側のストロンチウム90濃度を示します。
※(5)を集計
図―2 5,6号機放水口北側のストロンチウム90濃度
前回(7月6日)の測定では1リットル当たり0.18ベクレルでしたが、今回(8月3日)の測定では0.66ベクレルと一気に4倍になっています。もう一つ気になることがあります。もっと気になったのはこの時のセシウム137の濃度は1リットル当たり0.53ベクレル未満(検出限界未満)で(9)、値は分かりませんがセシウム137の濃度を超えています。でも厚生労働省は食品中のストロンチウム90についてセシウムに対して一定の割合を想定して基準値を設けているので検査しなくても「安全」だと主張しています(10)。
2.地下水バイパス井戸2カ所や山側井戸から過去最高のトリチウム
地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(11)。海に流す水からは「トリチウム」が見つかっているので、(=^・^=)は立派な汚染水だと思います。東京電力は福島第一原発地下水バイパスの山側に井戸を掘って放射性物質濃度を調べています(12)(13)。また地下水バイパスからくみ上げた汚染水の濃度も井戸毎に調べています(13)。以下に放射性物質濃度を示します。
※1 (12)(13)にて作成
※2 数値は1リットル当たりのベクレル数
※3 集計期間内の最大値
※4 地下水バイパスNo10井戸は東電以外(第三者機関)の測定
図―3 地下水バイパスと山側(上流井戸)の放射性物質濃度
このうち地下水バイパスNo3(14)、No10(第三者機関測定)(15),G-1井戸とG-2井戸(16)のトリチウムは過去最高です。またE-2井戸の全ベータはこれまで検出限界未満(ND)か1リットル当たり20ベクレル台だったので、突然の上昇です。
この中で気になったのがG-1、G-2井戸のトリチウムです。以下に推移を示します。
※(12)を集計
図―4 G-1,G-2井戸のトリチウム濃度
これまでも急上昇はあったのですが、ここまで上がったことはありません。
原発事故から4年半たっても場所によっては放射能汚染が酷くなっています。
3.護岸付近の井戸からは今週も過去最高の放射性物質
東京電力は福島第一原発の海岸付近やタービン建屋周りの井戸の地下水の放射性物質濃度を調べています(5)。以下にそこでの放射性物質濃度を示します。
※1 数値は1リットル当たりのベクレル数
※2 集計期間内の最大値
図―5 海岸付近の井戸の放射性物質濃度
このうち1リットル当たりでNo1井戸の全ベータ6,000ベクレルとNo2-3井戸のトリチウム3,400ベクレルは過去最高(新記録)です(17)(18)。以下にNo2-3井戸のトリチウム質濃度を示します。
※(5)を集計
図―6 No2-3井戸のトリチウム濃度
これまでも上昇傾向になったのですが、上昇のペースが早まっています。
福島第一では図―5に示す様に海岸の傍に水の流れを阻止する「海側遮水壁」の工事を進めています(19)。これまで海に流れていた汚染水は堰止められ、放置すると海岸が汚染水だらけになるので汚染水を汲みあげ、トリチウムを浄化せずに海に流すそうです(20)。福島の海のトリチウム汚染がますます酷くならないか「心配」です。
4.福島第一原発の排水路からは法令限度を超えた汚染水は「海」へ
福島第一原発構内にには幾つもの排水路があります。
※(21)を転載
図―7 福島第一原発内の排水路
当然ながら福島第一構内は放射性物質で汚染されており、排水路に流れ込みます。全ベータ濃度のおよそ半分がストロンチウム90で(8)、ストロンチウム90の法令限度は1リットル当たり30ベクレルですので(2)、全ベータでみれば1リットル当たり60ベクレルになります。セシウム137の法令限度は1リットル当たり90ベクレルです。このうちK排水路とC排水路では法令限度を超えた汚染水の流れが確認されています。以下に汚染水が流れ出たC排水路の放射性物質濃度を示します。
K排水路では9月12日に法令限度を超える1リットル当たりで
セシウム137 190ベクレル
全ベータ 310ベクレル
の汚染水が流れました。その後も法令限度を超える1リットル当たり60ベクレル以上の全ベータが見つかっています(22)。C排水路では9月11日に1リットル当たり280ベクレルの全ベータが見つかりました(7)。以下にC排水路の全ベータ濃度を示します。
※(7)を集計
図―8 C排水路の放射性物質濃度
C排水路でも法令限度を超える汚染水が海に流れています。東電の発表(23)を見ると排水路は遮水壁を超えて海に繋がっているので、3項に記載した「海側遮水壁」が完成しても排水路の汚染水はブロックされません。図―7に示す様のこれまでC排水路で法令限度を超える全ベータが見つかる事はあまりななっかので、これまでとは違う事態が起きているのかもしれません。
なおK排水路の放射性物質濃度については昨日(9月19日)の記事(24)に記載したのでそちらをご覧ください。
5.タービン建屋海側の放水路の放射性物質濃度が再上昇
福島第一原発のタービン建屋の海の間には地下に埋設された放水路があります。
※(25)を転載
図―9 タービン建屋と海の間の排水路
ここにも確り汚染水が詰まっています。以下に放射性物質濃度の推移を示します。
※(26)で作成
図-10 タービン建屋と海の間の排水路の放射性物質濃度
一時は下がったのですが再び再上昇です。上昇・下降を繰り返しているので、何処から放射性物質が流入し、流出したのは確かです。名前が「排水路」なので海に繋がっているような気がします。
6.サブドレイン1週間、トリチウム排出量は14億ベクレル
サブドレンは、原子炉やタービン建屋の直ぐ傍の井戸から地下水を汲み上げ、直接にタービン建屋周囲の水位を下げ汚染水の増加量を抑えるものです(27)(28)。9月3日に稼働しました(29)。9月14日に最初の排水をおこないました(30)(31)。今の所は排水があったに日には東電の「日報」(32)に記載されます海に捨てる汚染水の濃度も公表されいます(29)(33)。排水用×濃度の合計で環境中に排出された放射性物質量が計算できますので、累計を取ってみました。
※(29)(32)(33)を集計
図―11 サブドレンのトリチウムの累積排出量
サブドレン開始1週間で捨てられたトリチウムの総量は約14億ベクレルになりました。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら(ブログ図表)を参照ください。
止まる事のない福島原発の汚染水漏れ!福島の方は不安だと思います。9月も半ばを過ぎ福島のモモを終わりで、ナシのシーズンです(34)。でも、福島ではナシが値崩れを起こしているそうです(35)。
※(35)をキャプチャー
図ー12 ナシの値崩れを報じる福島のローカルTV局(TUF)
福島県福島市のスーパーのチラシを見たら(36)、福島県産ナシは1個138円でしたが、他県産は2個480円(1個240円)でした。
※(36)を切り貼り
図―13 他県産に比べ大幅に安い福島産「ナシ」
福島県は福島産ナシは「安全」だと主張していますが(37)、福島の方の評価は低いようです。当然の結果です。(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い評価の低い「フクシマ産」は食べません。
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