「西南極の氷、またはグリーンランドの氷がすべて溶けると、海面は約6メートル上昇する」
このように『不都合な真実』には書かれています。すなわち、私たちがこれまでと同じような生活を続けて温暖化が進めば、極地の氷が溶ける。その結果、西南極の氷床またはグリーンランドの氷がすべて溶け、海面は6メートル上昇し、世界じゅうで水没する島や、海抜が低い地点にあるため水没する都市が続出して大変な危機に直面するという指摘でした。
しかし氷が溶けて水蒸気が増えれば、その水蒸気が上昇し雪となって、また降りつもり氷となります。気温が1~2℃上がるだけではその循環が速くなるにすぎないのです。実際、氷床や氷河(海の上に浮いている氷、北極など)は一部後退しているけれども、前進している別の部分もあるという観測結果もあります。
さらに、気温が何度上昇すれば全部が溶けるのか、という記載がないままに危機感をあおっています。
そもそも6メートルも上昇するというのは明らかにおかしな話です。ゴア氏がよりどころとしているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測でさえも、「人類がこれまでと同様に経済活動を行って温暖化が進んだとしても、海面の上昇は最大約60センチメートル」としか述べていません。
ちなみに、『不都合な真実』について、イギリスの高等法院は、「グリーンランドを覆う氷が溶けて、近い将来に水面が6メートル上昇するかもしれない」「地球温暖化でアフリカ最高峰キリマンジャロの雪が後退している」などという点に、科学的裏付けがないとの判断を示し、学校でこの映画を上映する際には注意が必要としています。
(丸山 茂徳「『地球温暖化』論に騙されるな!」(講談社・2008年)18~19ページ)
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%9C%B0%E7…/…/ref=sr_1_1…
丸山茂徳(まるやましげのり)1949年徳島県生まれ。徳島大学卒業後、金沢大学、名古屋大学で学び、米スタンフォード大学などを経て89年に東京大学助教授。93年より東京工業大学理学部教授に。地質学者で専攻は地球惑星科学。地球のマントル全体の動き(対流運動)に関する新理論を打ち立てて学界に衝撃を与え、日本地質学賞、紫綬褒章を受章。主な著書には『46億年、地球は何をしてきたか』(岩波書店)、『生命と地球の歴史』(岩波新書)、『ココロに
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