あなたに手紙を書きます。
東京オリンピックでいっぱいお金を
使おうとしているあなたに手紙を書きます。
リオデジャネイロでオリンピックが
はじまりました。治安や工事の遅れなど
心配することは山積みです。でも高らかに、
華やかに開会のセレモニーが行われました。
見たところ、大掛かりな仕掛けもなく
お金がかかっているようには見えません。
事実、開会式にかけたお金は、
北京五輪が110億円。
ロンドン五輪が48億円。
今回のリオは4億円だそうです。
それで世界の人々はがっかりしたでしょうか。
「貧相だね」とか「地味だね」と言ったで
しょうか。
その逆です。世界はこの低予算の式典を
歓迎しました。会場を走る三輪車がかわいいと
話題になり、聖火の点火に感動の声があがりました。
何よりも、踊りです。
伝統的なサンバを踊る民族ひとり一人の顔、顔、顔。
その目の輝きに、身体の躍動に、
あふれでる歓喜に世界の人々は心を奪われたのです。
お金をかけた仕掛けではなく、
人の姿に世界中が惜しみない拍手を送った
のでした。
ここにオリンピックの原点があります。
国威発揚でも、政治権力の鼓舞でも、
人々に注目されたくない問題のすりかえ
でもない。
ましてや特定の団体や人々の懐を満たす
ものでも、オリンピックはないのです。
オリンピックにお金をいっぱい使いたい
あなたへ。
今の世界は、お金の力でうならせること
よりも、人の力で魂を呼び起こせる人々を
尊敬するのです。
お金をかけて国の力を見せつけるなんて
カッコ悪い大人たちの論理です。
先進国と自負するならば、低い予算でも
工夫に工夫を重ねたアイデアを披露し、
お金のない国が「うちでもやれるかも!」
と希望を与えるような五輪をめざすべきでしょう。
あなたに手紙を書きます。
そろそろ引退された方がいいのではないか。
そんな多くの人々の祈りを込めた手紙を
あなたに送ります。
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