「中国のミサイル1400発で日本は一度壊滅させられ、中国に花を持たせて戦争を集結させる。それが米国の戦略」〜岩上安身による伊波洋一・元沖縄県宜野湾市長インタビュー 2015.12.21
(IWJテキストスタッフ・関根かんじ 文責・岩上安身)
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「武器を持たない琉球の最大の手段は、国際的信義だった。これが琉球・沖縄が450年も平和的に統治できた最大の理由です」――。
元沖縄県宜野湾市長の伊波洋一氏は、2015年12月21日、「饗宴VI」の翌日に岩上安身のインタビューに応じ、米軍の最新戦略と、それがもたらす沖縄への影響について分析。また、今後の日本を考える上で、450年間戦争をしなかった琉球王国のあり方が参考になると紹介した。
米国は、空軍と海軍を統合した「エア・シー・バトル戦略」で、日本を戦場にして中国軍と全面戦争をするはずだったが、中国周辺諸国に軍事的対応をさせて、米国が漁父の利を狙うオフショア・コントロール戦略に変わったと語る。
米国が戦略をひっそり転換したのはなぜか。
伊波氏は、「2030年には、米国の経済力の3倍(内閣府『世界経済の潮流2010』より)に成長する中国を見過ごせなくなり、全面戦争や核戦争を避けて、経済的互恵を図る方向に向かっているのではないか」との見方を示した。
米国は、中国との正面衝突は避ける。しかし、周辺諸国、とりわけ日本に対してはこっそり背中から押して中国との対決を後押しするというのである。
その場合、限定戦争の主たる舞台になるのは沖縄周辺だ。伊波氏は、米国は南西諸島を舞台に自衛隊と中国軍とを戦わせて、日本が敗退するシナリオを描いていると説明する。
「中国に花を持たせ、台湾は米国が押さえて戦争を終わらせる。すべて米国の国益のため。日本にとって、選択肢は他にもあるのに選べない。もっと中国と仲良くやればいい。それができないのは、とても近視眼的だ」
伊波氏はインタビューの前半で、琉米修好条約締結160周年で、琉球新報と沖縄タイムスが沖縄の「自己決定権」を歴史的に検証した記事を紹介して、琉球王国の歴史を説明した。
「琉球国は武器を持たず、他国との信義を重んじることで、450年もの間、平和を保ってきた。1853年には独立国として、米国と琉米修好条約を締結している。その後、明治政府による琉球処分(1872〜79年)があり、明治政府は有利な通商権を得るために、宮古・八重山割譲案で、中国(清)に与えようとした。しかし、亡命琉球人が命懸けで清朝政府に抗議し、調印は撤回されている。このような琉球の歴史は、今まで隠されていたに等しい」
また、現在の沖縄で、イデオロギーを超えた「オール沖縄」から「島ぐるみ会議」に至った動きには、国際立憲主義と自己決定権という考え方があることを示し、自己決定権について、「ニュージーランド、オーストラリアやハワイで起こっている、先住民の土地の返還と権利の確認だ」と説明。「これに基づき、翁長知事が辺野古の埋め立て承認を取消し、『政治的イデオロギーよりもアイデンティティ』との言葉を生み出した」と述べた。
インタビューの終盤で伊波氏は、「日本にも、ひとつの指針が芽生えてくれれば」と期待を口にし、辺野古の問題は日本全体を左右するという危機感を、国民が共有できるかが問われていると訴えた。
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