戦争で利益を得る世界の“死の商人”トップ10
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Flickr_BAESystemsInc
米国務省が発表した報告書によると、アメリカが2010年10月から2011年9月の間に海外へ輸出した武器などの総額は約3兆4760億(440億ドル)以上に達し、前年同期比で20%超も増加した。またストックホルム国際平和研究所によると、2010年における軍需産業企業トップ100の世界販売は32兆4769億円(4111億ドル)に達し、2002年比で60%増加した。残念なことに、武器の売買が多国間で活発になり、この10年で軍需産業は順調に成長した市場のひとつとなった。
日本は昨年、武器輸出三原則を緩和し、国際共同開発・生産への参加などを容認した。私たち日本人も他人事ではない。そこで、今こそ知っておくべき「戦争で利益を得る世界の企業トップ10」を紹介しよう。
10.ユナイテッド・テクノロジーズ(アメリカ)
2010年の売上高543.3億ドル(内、軍需産業は114.1億ドル)で、軍需産業の比率は21%。純利益47.1億ドル。従業員数は20万8220人。
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Flickr_Lockheed Martin
子会社プラット・アンド・ホイットニー製エンジンを搭載した戦闘機には、F-22ラプターとF-35ジョイント・ストライク・ファイターが挙げられ、F-35は9つの国家において何百機と導入されている。
9. L-3コミュニケーションズ(アメリカ)
2010年の売上高156.8億ドル(内、軍需産業は130.7億ドル)で、軍需産業の比率は83%。純利益9.6億ドル。従業員数は6万3000人。
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YouTube_BrazenHealy
アメリカのほぼ全ての防衛、諜報及び安全機関、アメリカの同盟国政府が顧客に含まれる。AVCATTモバイル航空訓練シミュレーターはアメリカ陸軍用に設計された。
8. フィンメッカニカ(イタリア)
2010年の売上高247.6億ドル(内、軍需産業は144.1億ドル)で、軍需産業の比率は58%。純利益7.4億ドル。従業員数は7万5200人。
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Flickr_23giugno
イタリア最大のハイテク産業グループであり、イタリア政府が同社株式の一部を保有する。ヨーロッパを中心に世界各国で何十もの合併会社を設立する。例えば、ヘリコプター製造業者のアグスタ・エンタープライズ、ミサイル製造業者のMBDA、そして対潜魚雷製造業者の世界トップメーカーであるユーロトープが挙げられる。
7. EADS(ヨーロッパ)
2010年の売上高606.0億ドル(ジェネラル・ワークス内、軍需産業は163.6億ドル)で、軍需産業の比率は27%。純利益7.3億ドル。従業員数は12万1690人。
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Flickr_trinity2492
フランス、ドイツ、スペインの各国企業が2000年に合併して誕生。航空機メーカー、エアバスの親会社でもある。EADSはミサイル製造会社MBDAの株式を37%保有し、航空自衛隊の次期戦闘機の最終候補に挙げられた戦闘機ユーロファイタータイフーンの開発を担当した会社の一つでもある。
6. レイセオン(アメリカ)
2010年の売上高251.8億ドル(内、軍需産業は229.8億ドル)で、軍需産業の比率は91%。純利益18.8億ドル。従業員数は7万2400人。
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Flickr_Christopher Corbaley
世界最大の誘導ミサイル製造メーカー。AIM-7スパロー、AIM-9サイドワインダー、そしてBGM-109トムホークなどの広範に使用されている武器を製造している。
5. ジェネラル・ダイナミクス(アメリカ)
2010年の売上高324.7億ドル(内、軍需産業は239.4億ドル)で、軍需産業の比率は74%。純利益26.2億ドル。従業員数は9万人。
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Flickr_Morning Calm News
設立は1952年に遡るが、1997年以降、50社以上を吸収合併し台頭した。ここ拾数年で、売上高は40億ドルから320億ドルに増加し、従業員も6万人以上加わった。子会社エレクトリック・ボートは、アメリカ初の原子力潜水艦「ノーチラス」、弾道ミサイル潜水艦「ジョージ・ワシントン」の建造が有名だ。
4. ノースロップ・グラマン(アメリカ)
2010年の売上高347.6億ドル(内、軍需産業は281.5億ドル)で、軍需産業の比率は81%。純利益20.5億ドル。従業員数は11万7100人。
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Flickr_sfsgth324
1994年にノースロップがグラマンを買収して誕生。世界最大の軍艦で原子力空母のニミッツ級航空母艦を製造した。現在は、2009年に起工し、2015年に就役予定する超大型航空母艦ジェラルド・R・フォードの建造を手がける。予算は97億ドルに上る。映画トップガンでトム・クルーズ演じるピート・ミッチェルが操縦したF-14トムキャットは同社の製品だ。
3. ボーイング(アメリカ)
2010年の売上高643.1億ドル(内、軍需産業は313.6億ドル)で、軍需産業の比率は49%。純利益33.1億ドル。従業員数は16万500人。
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アメリカ政府の発注額は、2010年には約195億ドルに上り、ロッキード・マーティンに続き2番目に大きい。昨年、ボーイング787がANAに導入され話題になったボーイングは旅客機だけでなく、戦闘機なども製造している。広島、長崎に原爆を投下したB-29エノラ・ゲイ、B-29ボックスカーは同社の製品だ。今や日本政府も同社の重要な顧客のひとつ。自衛隊が戦闘機F-15イーグルとF-4ファントムを採用している。
2. BAEシステムズ(イギリス)
2010年の売上高346.1億ドル(内、軍需産業は328.6億ドル)で、軍需産業の比率は95%。純利益16.7億ドル。従業員数は9万8200人。
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Flickr_BAESystemsInc
ブリティッシュ・エアロスペースとマルコーニ・エレクトロニック・システムズ(当時GEの子会社)の合併により、1999年に誕生した。イギリスの国防を担っているため、イギリス国外の法人や個人が株式の15%以上を保有することを禁じているほか、CEOにはイギリス国民が就任することが義務付けられている。現在は、2009年に起工し、2016年に就役予定する英国海軍史上最大の軍艦クイーン・エリザベス級航空母艦の建造を手がける。
1. ロッキード・マーティン(アメリカ)
2010年の売上高458.0億ドル(内、軍需産業は357.3億ドル)で、軍需産業の比率は78%。純利益29.3億ドル。従業員数は13万2000人。
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Flickr_F35_Canada
ロッキードとマーティン・マリエッタが合併し、1995年に誕生。航空自衛隊の次期戦闘機に決定したF-35Aは同社の製品だ。レーダーに探知されにくいステルス性能が最大の特徴。1981年に民間機事業から撤退したが、引き金を引いたのは1976年に発覚したロッキード事件と言われている。全日空が同社の旅客機への発注をめぐる汚職事件で、田中角栄前総理、檜山廣丸紅会長、若狭得治全日空社長など政財界の大物が次々逮捕、起訴され、有罪が確定した。
- 出典元:Ten Companies Profiting Most from War - 24/7 Wall St.(2/28)
- 出典元:Surge in U.S. weapon sales overseas - CNN(6/12)
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