1860年春。イタリア全土はブルボン王朝から、国王ビクトル・エマニュエルの統治下に入った。シシリー島の名門を誇っていたサリナ公爵(バート・ランカスター)にとって、政治的変動は大きなショックだった。そんなある日、サリナ家は田舎の別荘に出掛けた。一行の中、公爵の甥タンクレディ(アラン・ドロン)はブルボン王朝側と戦った革命派で早くも公爵の娘コンセッタの心をとらえていた。一家が田舎に着くと村長のドン・カロゲロ(パオロ・ストッパ)が歓迎会を開いた。彼は新興ブルジョアの一人だ。コンセッタはタンクレディと結婚したいとまで考えていたが、村長の娘アンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)の出現が、タンクレディをひきつけ、彼が求婚までしたと聞いて絶望した。タンクレディが所属連隊に復帰すると間もなく公爵に手紙を送り、アンジェリカとの挙式の手配をしてくれと頼んだ。公爵夫人(リナ・モレリ)は彼を貴族を裏切るものだとののしった。公爵にとっては、娘の心の痛手もつらいがその縁組が、彼の貴族としてのプライドの故に嫌悪とバツの悪さを意識した。タンクレディとアンジェリカは毎日のように会い、愛情は燃え上った。アンジェリカも平民の娘と思えぬ程の気品を初めての舞踏会で漂わせた。その席で公爵は急に自分の老いと孤独を感じた。アンジェリカの求めに応じて踊ったものの、何となくその場にそぐわない気さえする。時代は代ったのだ。歴史の大きな歯車は少数の人間の意思とは全く無関係に回転していくものなのかもしれない。公爵はやがてくる自分の死を考えていた。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。