ワインやブランデーなどの酒は、その製造工程に「樽などでの熟成」という工程を含んでいる。熟成は短くとも数年単位、十数年の熟成が行われることも珍しくはなく、場合によっては数十年の熟成がなされる場合もある。樽は基本的に木製であり、液体は通さないが気体は通すため、熟成の間に酒に含まれる水分やアルコール分が蒸気となって少しずつ樽からしみ出ていく。すると、熟成開始時の量と比較して、熟成終了時(つまり、出荷時)の量は減少してしまう。この減少分を、「天使の取り分」と呼ぶ。
熟成期間が長いほど、天使の取り分は多くなる。これが熟成年数の長い酒が高価となる一因である。熟成を行った場所の温度が高いほど、湿度が低いほど、天使の取り分は多くなる。よって、熟成を行う場所を慎重に検討する必要がでてくる。なお、一般に木製の樽で1年熟成すると、1〜3%程度が、天使の取り分として失われる[1]。
一説によると、コニャックの原産地であるフランスのコニャック地方では、一日にボトル2万本にも及ぶ量の「天使の取り分」が発生していると言われている。
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