しかし、五輪を成功させるための事業を削るのは難しい。政治家は「地方都市への配慮」「観光客を招く地方の魅力づくり」といった事業に予算を求める。消費税の負担者は都民だけではない。消費税財源は社会保障費、と決まっていても、公共事業やその他の地方向け予算は膨張するだろう。
安倍首相が世界に約束し、本気で取り組まざるをえない「汚染水対策」にも、膨大なカネがかかる。東電に任せっぱなしにしてきた不作為が今日の事態を招いた。兆円単位の国費を投入せざるを得なくなっている。東電のように対策費をケチると、東京五輪を返上しなければならないような事態にもなりかねない。
重病人を抱えた家庭が、隣近所を呼び集めて宴会を催す、というのが東京五輪である。いやなことを忘れて元気を出したい、という気持ちは分かるが、その選択が正しかったかは、いずれ分かる。