名刺入
大塚華仙
8×10.3cm
1本をこうちゃく材で、もう1本を唾液で湿らせた2本の筆の先端に、クモの糸のように細く切られた金箔を取る。その金箔の一端を木肌に置き、もう一方の筆を滑らせると、筆の動くままに金線の模様が描かれていく。木肌の面に置かれた金箔の糸はぴたりと動かない。この作業を繰り返して、極めて繊細な模様を表現する。この技法を「截金」という。
中国より伝えられた截金の技法は、平安から鎌倉時代に第一の円熟期を迎え、仏画や仏像の輪郭線や衣のひだに、経典では罫線や装飾に盛んに用いられた。一方、蒔絵(まきえ)における截金は、定着剤として漆を用い、最初は1ミリ角前後の金銀の薄板を貼付した素朴なものだった。
その後、日本の誇る伝統工芸として現在に至っている。古い歴史をもつ截金だが、一般の認知は、まだとても低い。
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