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3日の夕方、仕事場でたまたまついていたテレビをふと見てクギ付けになった。
NHK総合の「ゆうどき」の「人生ドラマチック」のコーナーで、ゲストの俳優・宝田明さんが「映画ゴジラとの出会い」と題して、インタビューに答えていたのだ。
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途中から見たのだが、宝田さんは「私は80年の人生と、そこでの体験から、二度と戦争は起こしてはならないと考えています。」と仰っていた。
宝田明さんは昭和8年(1934年)生まれ。昭和7年(1933年)生まれの故菅原文太さんの一つ年下だ。
初代ゴジラの主演を務めた宝田さんは、ゴジラに関して、「戦争によって、核兵器によって無辜(むこ)の民の命が犠牲になった。人間が起こした核戦争、核開発によって世界が小さくなってしまった。その後、核開発に力を貸した原子力物理学者たちが、『もし核を使用すれば世界が滅亡する』と発表して、7人委員会がつくられた。しかし3・11事故で、日本で再び核の放射能汚染がひろがる辞退となった。命の大切さ、命がおろそかにされてしまうような事態が、戦後70年もたっているのに、いまだに続いている。」と語った。
また「戦争のこと、日本で派生してきた時代、明治、大正、昭和の歴史を研究して、どうやって戦争に入ったのか、是々非々でもいいから、若い人にもっと知ってもらう必要がある。」とも述べる。
そして、「無辜の民が犠牲となる無残な戦争を、一握りの人間にもてあそばれてやることはあってはならない。間違った戦争を繰り返してはならないと思います。最近、ややもすると、キナ臭い動きが国内にも、周辺国にもあります。戦争を助長することも、加担するような動きもしてはいけないと思います。」として「日本が間違った道を選択しないように、選挙で、戦争をしようとする人ではなく、そうではない人を選ぶことが大事です」と選挙にも踏み込んだときだった。
すかさず、聞き手のNHKキャスターの山本哲也氏が、あわてたように「各自、それぞれが思うことがあるでしようし、いろいろな考え方もありますから……」と宝田さんの話しを否定するようにして割って入った。
しかし、宝田さんは、それでも再び、「声を大にして言いたい。戦争をおこしてはいけないというメッセージを発信し続けていきたい。」と力を込めて述べた。
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ゴジラ誕生から60年。そして、来年で太平洋戦争終結から70年を迎える。
宝田さんは前にも、インタビューで「核の犠牲となったのは市民だけではない。ゴジラもまた犠牲者なのです。こんなに哀しい話はあるでしょうか」と述べるとともに、自身の少年時代の満州における強烈な戦争体験から、「戦争の悲惨さは前線の兵士だけの話ではないんです。市民も必ず犠牲になるんです」「国会にいる政治家達はみんな、戦争を知らない子ども達だからね。私たちが今その体験を語らなければ」などと語ったことがある。
昨日書いた81歳で亡くなられた菅原文太さんも、自分の少年時代の体験から「戦争はよくないんですね。戦争は絶対にやめなきゃダメなんです。」と述べ「もし(戦争に向けた動きが)始まったら、みなさん命をかけましょう」とまで言っている。
もう一人、同じ年代の人が声をあげている。
宝田さんと同じ、昭和8年(1984年)生まれで80歳になるタレントで昭和のテレビ界を代表する名司会者だった大橋巨泉さんが、12月1日発売の「週刊現代」の自分の連載コラム「今週の遺言」で「3度目のがん発見 最後かもしれぬお願いです 『野党に投票』して下さい」と題した一文を書いてる。
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大橋さんは、「なぜ解散なのか」について解明し、安倍首相が「多少減らしても、過半数以上が固い。それなら、今選挙をすれば、あと4年間は多数派でいられる。その間に、本当の目的である憲法改正や集団的自衛権が確立できる、と踏んでいるのだ。つまり日本が攻められたケースでなくても、遠く離れた外国においても戦争に参加できる国にしたいのだ。それを隠して、やれ『税制』だの、『アベノミクスの評価』だのと、争点をスリカエている。実に狡猾で汚いやり方である。」「4年間の絶対安定多数を得た上で、衣の下の鎧を見せて目的を果すというやり方は、断じて許せない。」と安倍政権を批判。
そして、「要するに、日本の選挙民の質はこの程度のトリックで十分だと、ナメ切っているのである。こんな風に見くびられて良いのですか?皆さん。理由も政策もいらない。こんな選挙を許さない唯一方法は、『野党に投票する』ことです。」と訴えている。
その上で、「こんな書き方をするのも、この選挙が、ボクにとって最後の選挙になるかも知れないからだ。」と述べ、この間の3度目のがんの発症を打ち明ける。
これまで大橋さんは、最初は胃がんにかかり、05年に摘出手術を行い完全復帰、昨年は中咽頭がんにかかり、放射線治療で復帰した。ところが、あまり日も経たずに3度目のがん発症ということになった。
自身の3度目のがん発症についてショックを隠さない大橋さんだが、自分人生も振り返りながら、さらに安倍政権を痛烈に批判し、以下のように述べている。
「(腫瘍を)今のうちに叩けば治療の可能性はあるらしいが、とに角相手はがんである。ある程度の覚悟は出来ている」「少なくとも3度目のがんとは戦う。しかし何と言っても3度目だし、年齢ももうすぐ81歳である。それほど長い人生が待っているとも思えない。
何回も書いたことだが、それ程才能にも恵まれた訳でもないのに、こうして安穏な後半生を送れたのは、ボクの番組を見てくれた諸兄姉のお蔭である。まことに幸運に恵まれたと思う。ただそうした皆さんが、そしてその子孫が、不幸になるのは看過できない。どんなに優しく見えても、巧いことを言っても、安倍晋三の野望は恐ろしいものである。日本を戦争のできる国にしたいのだ。しかし彼は銃を取らない。銃をもって戦場におもむくのは、貴方の子孫です。これだけは何としても喰いとめたい。今回の選挙で勝ったら、4年の間やりたい事が出来る。それだけはストップをかけたいのだ。」
故菅原文太さん、宝田明さん、大橋巨泉さんというベテランの俳優やタレントが、本業だった映画俳優業やタレント業以外で、80歳にもなって、ここまでの自分の身を捨てるような覚悟と決意をしなければならない今の日本の国とは、いったいどういう国なのだろうか。
戦争について、そして、今度の選挙について、宝田さんや大橋さんが、なぜそこまで声をあげ、強くアピールしているのか──そのことの意味を、戦後生まれの人や若い世代の方たちも考えてみてはどうだろう。
今まで選挙に言ったことのない人も含めて、今後の自分たちの未来と日本の未来について、そしてその選択について、真剣に考えるべき10日間ではないだろうか。
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