<中間貯蔵>双葉、大熊両町で施設着工
環境省は3日午前、福島県双葉町と大熊町で、東京電力福島第1原発事故に伴い同県内で発生した除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の造成工事に着手した。
同省は東日本大震災から丸4年となる3月11日までに廃棄物の搬入を始める方針だが、地権者約2300人との用地交渉が完了していない。廃棄物の本格輸送開始の見通しは立っていない。
着工したのは廃棄物の一時保管場2カ所。両町の帰還困難区域にある工業団地に1カ所ずつ造成する。面積は計約6万平方メートルで収容容量は約2万立方メートル。
4月をめどに双葉郡と田村市の計9市町村から各1000立方メートルを搬入し、1年かけて43市町村から試験輸送を行う。
県は搬入開始の前提として5項目の確認を国に要求した。県外最終処分の法制化と交付金3010億円の予算化は実現したが、(1)搬入ルートの維持管理と周辺対策(2)施設と廃棄物輸送の安全確保(3)地元との安全協定案の合意-の3項目はクリアされていない。
国は2011年8月、県に施設の設置を要請。県は14年8月に建設受け入れ方針を決定した。環境省はことし1月16日、地元の自治体や地権者との調整が進んでいないことから、当初予定した1月中の搬入を断念した。廃棄物の保管期間は最長30年間。最終処分地は決まっていない。
2015年02月03日火曜日 河北新報
<南相馬ADR>東電が和解案一部拒否
東京電力福島第1原発事故で放射線量が局地的に高い「特定避難勧奨地点」に指定された南相馬市の住民らが、不動産賠償などを求めていた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電が和解案の一部を拒否したことが2日、住民側弁護団への取材で分かった。
和解案は特定避難勧奨地点の10世帯と近くに住む1世帯に、賠償総額約4億3千万円を提示していた。東電の回答書は1月30日付で、不動産賠償に応じたのは勧奨地点の10世帯だけだった。
東電は「和解案を丁寧に検討した結果」とコメント。住民側弁護団は「東電には和解案を尊重する義務があり、全面受諾を求めていく」と話した。
特定避難勧奨地点は2011年6月以降、福島県伊達市や川内村、南相馬市に指定されたが、昨年12月までにすべて解除された。
2015年02月03日火曜日 河北新報
三春の仮設住宅、県内初の集約へ 入居の富岡町民は転居
県と富岡町は三春町内にある仮設住宅1カ所を10月から撤去し、平成28年3月末までに三春町に引き渡す方針を固め、2日、入居者に伝えた。県によると、東京電力福島第一原発事故に伴う避難者向け仮設住宅の「集約案」が入居者に示されたのは県内で初めて。
撤去の見通しとなったのは三春町実沢の沢石仮設住宅。23年に三春町所有の運動場に建設された。現在は富岡町民18世帯約30人が暮らしている。
県と富岡、三春両町は同運動場が東日本大震災発生前まで地元住民に日常的に使われていた経緯や、入居世帯が建設戸数(58戸)の3分の1程度に減った現状などを踏まえ、昨年から対応を協議。入居者が県内各地の仮設住宅などに転居後、27年度末までに敷地を原状回復する予定。富岡町は今後、入居者個々の意向を聞き取る。
県が富岡町民らの入居を想定し、三春町平沢地区に整備する災害公営住宅(92戸)は27年度末の入居開始を予定していた。用地取得などが難航したため、半年程度遅れて28年度後期に完成する見通し。既に用地は取得し、4月の造成工事着工に向けて作業を進めている。
( 2015/02/03 09:48福島民報カテゴリー:主要 )
初期内部被ばく調査を 甲状腺検査評価部会が提言へ
東京電力福島第一原発事故に伴う甲状腺検査の評価部会(部会長・清水一雄日本医科大名誉教授)は2日、福島市で5回目の会合を開いた。一巡目の先行検査と二巡目の本格検査の結果を比較する現在の方法では、甲状腺がんと被ばくの因果関係を解明できないとの意見で一致。事故直後の初期内部被ばくを調べるよう、県「県民健康調査」検討委員会に3月末までに提言する。
渋谷健司東京大教授(公衆衛生学)は「全員の被ばく線量評価が望ましいが、無理ならば、地域などの集団レベルの線量を比較分析し、甲状腺がんの罹患(りかん)率を調べるのが必要」と強調した。部会員で検討委座長の星北斗県医師会常任理事も「一人一人の被ばく線量を明示できないまでも、相関関係の高いものを探し出し、推計するのは可能だろう」と述べた。
子どもの健康を守る目的で始まった甲状腺検査をめぐっては検討委などで、内部被ばく線量の分析を進め、甲状腺がんとの因果関係の検証に踏み込むべきだとの声が上がっていた。
また、部会では経過観察などで通常診療(保険診療)に移行した場合の医療費や甲状腺がんの手術費を公費で負担すべきとの意見でも一致した。県は既に、通常診療に移行した際の医療費は原発事故がなければ発生しなかったとして、県民の経済的負担を解消するよう国に財政措置を求めている。しかし、国から現時点で明確な回答はないという。
( 2015/02/03 09:47福島民報カテゴリー:主要 )
福島第一原発の廃炉作業3日に再開
東京電力は2日、福島第一、第二原発で労災死亡事故が相次いだ問題で、安全点検のために中断していた第一原発の作業を3日に再開すると発表した。約2週間作業を中断したため、手順などの見直しにより汚染水対策の柱となる凍土遮水壁の工事を含め、半月から1カ月程度遅れるとの見通しも示した。
労災死亡事故を受けて第一原発は1月21日以降、汚染水の処理などを除くほとんどの廃炉作業を中断した。東電原子力・立地本部長の姉川尚史常務が同31日、各工事の点検状況を視察。点検対象となった436件の作業のうち、392件で作業環境の改善を確認したとして、3号機海側トレンチの埋め立て作業などの再開を決定した。
原子炉建屋への地下水流入を防ぐ凍土遮水壁の運用は3月の開始を予定している。2日の臨時会見で、東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表は「全体的に作業工程が遅れる見通しだが、具体的な作業への影響は今後精査していく」と述べるにとどまった。
第一原発は1月19日、男性作業員が地上タンクの点検作業中に約10メートルの高さの天板部から落下し、翌20日に死亡した。第二原発でも同20日、作業員が機具に頭を挟まれ死亡した。
( 2015/02/03 09:47福島民報カテゴリー:主要 )
5キロ圏の「防護措置準備区域」 福島第一原発で設定せず
原子力規制委員会は、東京電力福島第一原発周辺の災害対策を取る「原子力災害対策重点区域」に関連し、他の原発で定めている半径5キロ圏の「予防的防護措置を準備する区域(PAZ)」を設定しない方針を固めた。甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の備蓄も不要とした。規制委の原子力災害事前対策に関する検討会が2日、都内で開かれ、原子力規制庁が示した案を了承した。
原子力災害対策指針では、原発から半径30キロ圏を原子力災害対策重点区域として避難計画策定などの対策を講じるとともに、半径5キロ圏はPAZとして放射性物質放出前の避難や避難準備をするとしている。福島第一原発は、重点区域を半径30キロ圏とした一方で、廃炉作業中に住民に影響を及ぼす事態が発生する可能性は極めて低いと判断し、PAZを定める必要はないとした。
また、第一原発では原子炉などに放射性ヨウ素がほとんど残っていないと試算しており、安定ヨウ素剤の事前配布や備蓄は不要とした。検討会で、規制委の更田豊志委員が「安定ヨウ素剤の備蓄や事前配布の態勢整備は現実的ではない」と述べ、出席した有識者が同意した。案では、第一原発の敷地周辺で放射線量が過去3カ月の平均線量から毎時5マイクロシーベルト上昇した場合などに避難住民の一時立ち入りを中止し退去するとしている。避難区域外の半径30キロ圏は、屋内退避を進める。
規制庁などは今後、今回了承を得た案について、県や関係市町村に説明する。今春にも改定する原子力災害対策指針に反映させる。
( 2015/02/03 09:45福島民報カテゴリー:主要 )
県産米の再興戦略探る 郡山で先駆的経営セミナー
県の「ふくしま米産地戦略セミナー」は2日、郡山市のビッグパレットふくしまで開かれ、生産者らが先駆的なコメ作り経営に理解を深めた。
県産米は東京電力福島第一原発事故に伴う風評の影響が根強く、厳しい販売環境に置かれている。水田農業振興を目指す「ふくしま米産地戦略推進事業」の一環で、生産者をはじめ、市町村、農業関係団体などから約150人が出席した。
全国農業法人協会長で秋田県の藤岡農産社長藤岡茂憲氏が「創意工夫あふれる稲作の法人経営について」の演題で話した。藤岡氏は昭和50年に就農し、平成9年に藤岡農産を設立した。
藤岡氏は「一生懸命作った農産物の販売を他人任せにしてはいけない」などと述べ、冬場に営業活動を徹底し顧客を確保、販売先が確保できた分を生産する経営方法などを紹介した。
JAいわき市は「ふくしま米産地戦略推進事業」の取り組み事例を報告した。
同会場では県、JA福島中央会など主催の第3回集落営農推進セミナーも開かれた。
( 2015/02/03 09:41福島民報カテゴリー:主要 )
県環境創造センター 初代所長に角山氏就任へ
県環境創造センターの初代所長に会津大教育研究特別顧問の角山茂章氏(71)が就く方向で調整していることが2日、分かった。
センターは県が東京電力福島第一原発事故からの環境回復を進めるために設置する。三春町と南相馬市に整備を計画しており、平成27年度中の一部運用開始を目指している。
角山氏は東京都出身、東京大理学部卒。14年に会津大教授に就任。15年に副学長、18年に理事長兼学長。26年3月に理事長兼学長を退任し、同4月から現職。25年10月からは県が新設した特別職「原子力対策監」を務めている。
( 2015/02/03 09:41福島民報カテゴリー:主要 )
「花」「食」「温泉」で福島観光復活 DC概要を発表
DC発表の記者会見で、福島の観光をPRする内堀知事(後列左から2人目)ら
福島県とJR東日本は2日、4月から同県内で始まるデスティネーションキャンペーン(DC)の概要を発表した。福島市の花見山などの「花」や日本酒をはじめとする「食」、全国屈指の数を誇る「温泉」の三つをテーマに、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で落ち込む福島観光の復活を目指す。
花の名所を巡るスタンプラリーや、各地の歴史・文化に触れながら謎解きをする周遊イベントなどを企画。朝にゆっくりと食事と温泉でくつろぐ「小原庄助のんびりプラン」には130以上の旅館・ホテルが参加する。
特別企画として、いわき市の国宝・白水阿弥陀堂のライトアップを実施。伊達政宗も参詣した伊達市の梁川八幡神社では、応神天皇の尊像を約600年ぶりに公開する。
JRは、県産の果物をアレンジしたスイーツが車内で味わえる特別列車「フルーティア」(磐越西線郡山-会津若松間)などを運行する。
県内の観光客数は、震災前の2010年の約5700万人から、13年は約4800万人に落ち込んでいる。内堀雅雄知事は記者会見で「県内の観光はまだまだ厳しいが、震災前の状況に一歩でも近づくように頑張りたい」と語った。
2015年02月03日火曜日 河北新報
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