三橋「私は農業を『国民農業』と『商業農業』の二種類に分類しています。国民農業とは、国民の胃袋を満たすための農業です。商業農業とは、ビジネスのための農業です。日本経済はTPPに入ることで、国民農業を商業農業に置き換えようとしています。かつてヨーロッパは東南アジア諸国の国民農業を商業農業へと強制的に転換させました。例えば、オランダはジャワの水田の5分の1をサトウキビ畑に変えました。その結果、ジャワの住民は慢性的に飢餓状況に置かれることになりました。また、イギリスはマレーシアの熱帯樹林を伐採し、ブラジル産のゴムを植えました。このゴムはアメリカのデトロイトに送られ、自動車のタイヤに加工されました。結果、マレーシアの豊かな自然は消滅し、マレー人の社会は破壊されました。
これはTPPにも当てはまることです。TPPに入れば、日本もプランテーションと化してしまいます。最低限の国民農業を確保した上で商業農業を増やすのであればわかりますが、国民農業を潰し、自ら進んでプランテーションになろうとしているのですから、理解に苦しみます。
しかも、TPPにはISDやラチェット規定など、構造改革を後戻りさせないための仕掛けが組み込まれています。国内法によって参入障壁を引き下げた場合であれば、法律を改正することで再び規制をかけることができます。しかしTPPは国際協定であり、国内法の上に位置づけられます。そのため、TPPによって規制が緩和されれば、再び規制をかけることは困難なのです。」
(三橋貴明「『亡国の農協改革』を食い止めよ」(月刊日本・2015年11月号30~35ページ)同誌同号32~33ページより)
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