【発言全文掲載】「いつまでアメリカやグローバル企業のATMを続けるのか」~安保法案めぐり、山本太郎参議院議員がNHK「日曜討論」で吠える!
参議院に審議の場を移した、集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案。憲法学者の約9割が「違憲だ」との見解を示し、国会前では学生有志による「SEALDs」の抗議行動が週ごとに熱を帯びるなど、国民からは「反対」の声が上がっている。
そんななか、7月29日(水)、30日(木)の2回にわたり、参議院特別委員会で質問の場に立ったのが、「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表の山本太郎参議院議員だ。山本議員は、原発の被弾リスクやイラク戦争の総括について、安倍総理をはじめとする政府側に質問。しかし、政府から明確な回答は得られなかった。
そんな山本議員が、今度はNHKに舞台を移し、野党の一議員として、与党側との討論の場に加わった。毎週日曜日、午前9時から放送されているNHK「日曜討論」で、持ち時間わずかながらも、安全保障関連法案の瑕疵について、発言を行ったのである。
以下、山本議員の発言全文を掲載する。
◆出演者
自民党:佐藤正久氏、公明党:荒木清寛氏、民主党:福山哲郎氏、維新の党:小野次郎氏、日本共産党:井上哲士氏、次世代の党:和田政宗氏、社民党:福島みずほ氏、生活の党と山本太郎となかまたち:山本太郎氏、日本を元気にする会:山田太郎氏、新党改革:荒井広幸
- 記事目次
- 「この国の危機管理能力のなさがよく表れている」~福島第一原発3号機の燃料交換機引き上げ作業のリスク
- 原発に弾道ミサイルが直撃するリスクを政府は想定していない
- 安倍総理はイラク戦争の総括を~「自衛隊を共同正犯にしてはいけない」
- 集団的自衛権の本質は米国の「肩代わり」
「この国の危機管理能力のなさがよく表れている」~福島第一原発3号機の燃料交換機引き上げ作業のリスク
山本太郎参議院議員「国民の皆さんから、憲法を守れだとか、そして立憲主義を守れということを大きな声で出されている時点で、詰んでいると思うんですね。国民の生命、財産、幸福追求権を守るということが安倍政権のよく言われる決まり文句ですよね。その中身をよく見てみると、空っぽなんですよ。普段の政治というものをウォッチしていれば、どういうことなのか、ということの答えがよく分かる。
たとえば、国が先頭に立ってやりますといった福島東電原発の収束作業。この3号機の話をしたいと思うんですけれど、発災後に使用済み燃料、ここに落下した燃料交換機というものがあるんですよ。20トンあります。これ、たった今、引き上げ作業を行っているんですよ。すごくリスクの高いもの。これ、国民の皆さんどれくらいご存知ですかって話なんですよね。このプールには、566本の燃料が入っています。引き上げに失敗したら直撃するんです。これ、リスクがすごく高い。
そこで万が一を考えて、引き上げに関わる人以外は、全員退避なんですよ。敷地外に退避なんです。こんなことは事故以来初めてのことなんですね。収束作業で敷地外避難をさせられるのは、かなりリスクが高い証拠だと。一方で、敷地から1キロ圏内にある国道6号線は一切規制がかかっていないんですよ。これ、不発弾を考えれば分かります。電車が止まる、交通規制がある。一体どういうことなのか。この国の危機管理能力のなさがよく表れていると思います」
原発に弾道ミサイルが直撃するリスクを政府は想定していない
山本議員「もちろん、アジア内、中国であったり韓国、北朝鮮というところとの関係がいびつだ、という部分はあると思います。それは、外交の手法というものであったりとか、挑発的な部分が我が国にはあったと、安倍政権にはあったと思います。とにかく安倍政権が言っているのは、ミサイルが飛んでくる飛んでくると。10分で到達するんだということを具体的な国名をあげて言っている。
そんなにアピールするんなら、ということで、先日、特別委員会で質問したんです。もうまもなく再稼働される鹿児島の川内原発、ここに弾道ミサイルなどの直撃を受けた場合、最大でどの程度の放射性物質の拡散があるのか、と。これは、予測していないとまずいですよね。ミサイルが飛んでくるってしきりに言っているんだから。でも結局、攻撃された場合の放射性物質がどれくらい拡散されるのか、被害の想定、人々の命を守る避難計画とか、基本的なことさえもほとんど想定されていないんですよ。
これ、考えていただきたいんです。全国の海岸線沿いに集中しているわけですね、脆弱な核施設。安全保障というならば、ここに着目しないわけにはいかない。武力行使もできるような法案を通すんだったら、 国防上、原発は即時廃炉以外にないんですよ。ターゲットにされますから。国民の生命と財産、幸福追求権が守れないということは明白です」
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安倍総理はイラク戦争の総括を~「自衛隊を共同正犯にしてはいけない」
山本議員「後方支援、これは武力行使そのものなんですよね。国際法では、武力行使か武力行使でないか、その2つしかない。武力行使と一体ではない後方支援なんて、ありえないって話なんです。これがあり得るというのは、詭弁でしかない。武力行使をしている軍隊に、補給だったり輸送だったり給油を行う、これは武力行使そのものじゃないですか。
名古屋高裁で、違憲判決がくだったと思うんですよ。イラクでの航空自衛隊による輸送のことですよね。表向きは国連関係者を送っていたというけれども、フタを開けてみれば、6割以上が米軍関係だった、と。人道支援という名のもとで、戦闘員を送り込んでいた可能性が高い、という話ですよね。
イラク戦争では、2007年からの1年間で、1447回空爆があった。これは、一般市民に対する殺戮ですよ。それも含めて、2万4千人もの民間人を大量に殺戮した。これは、アメリカの戦争犯罪です。この時、安倍総理というのは、第一次安倍政権でも総理だったんですよ。この時の総括をしていない。おかしな話なんです。これから活動を広げる自衛隊と言っているくせに、その昔の派遣に関して、何も総括ができていない。ありえないと思います。自衛隊を共同正犯にしてはいけない」
集団的自衛権の本質は米国の「肩代わり」
山本議員「この安全保障問題というのは、すべてのスピンだと言っていいと思います。TPPについても、原発の再稼働に関しても。
参議院は自由な議論が許されていると僕は信じています。だから本当のことを言っていく。今回の法案が成立して喜ぶのは、経団連とか武器製造に関わっている企業だけじゃないんですよね。たとえばこの『スターズアンドストライプス』5月13日付けでは、2016年のアメリカの最新の防衛予算は、日本政府が後押しする新法案、すなわち 可決する方向で仮定している、と。
要はこれ、リバランスなんだ、と。アメリカの支出を日本に肩代わりさせる話。その原資は誰ですか。皆さんの税金です。いつまでアメリカやグローバル企業のATMを続けるのかって話です。騙されちゃいけない」
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