■デジャヴ――いつか来た道
戦時下、日本政府は増税に次ぐ増税を行い、国債を乱発した。しかも、それを日銀引き受けにして戦費を賄った。「戦争に勝ちさえすればすべてが報われる」という考えだったのだろうが、結果は膨大な人命を犠牲にした無残な敗戦だった。終戦後、政府はその債務をすべてチャラにした上、国民の預貯金にまで手をつけ、富裕層の資産を実質強奪した。つまり、「国民の犠牲」は戦争中だけではなかったということだ。戦後もまた「経済的な犠牲」を強いられたのである。まさに「007は二度死ぬ」ならぬ「国民は二度殺される」状態だ。
ただし、ある意味、この暴挙ともいえる方法によって、戦後の日本が復興の道筋をつけたのもまた事実のようだ。だから終戦直後の政策の評価は、そう簡単ではない。ただ、すべては無謀な戦争のツケであったことだけは確かといえる。
さて、財務省がこの終戦直後の強行策に興味を示し、検討していると週刊誌等で報じられたのはもう10年も前のことだ。当時は新札への切り替えもあり、改めて「新円切り替え」と「預金封鎖」が注目を浴びた時期である。そして今、またも預金封鎖が密かに囁かれ始めている。しかも、現在はマイナンバー制度が施行され、タックスヘイブンという抜け道も潰されようとしている状況(※各報道によると2017年に世界的な防止策が導入される予定)だ。つまり、個人・法人を問わず、あらゆる私有財産は国際的に税務当局に把握されて、逃れる術はなくなるのだ。
今日、富裕層と庶民の極端な格差がクローズアップされているが、所詮経済システムのフレーム内にいる富裕層は、意外なほど簡単に「刈られる」対象であることがわかる。ところで、数年前、国・地方の合計債務が対GDP比で200%を超えた。これは終戦1年前の状況とほぼ同じである。
(『神々の予定表』著者・超常分野研究家・個人ブログ「新世界より」「フリー座」運営 山田高明)
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