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「数十年以内」大噴火の恐れ 年間マグマ増、東京ドーム9個分 京大など
桜島(鹿児島市)を含む姶良(あいら)カルデラの地下にあるマグマが年間1150万立方メートルのペースで増えているとの研究結果を英ブリストル大、京都大のグループが英科学誌の電子版に発表した。東京ドーム約9個分に相当する。グループは大正大噴火(1914年)の規模と時期を考慮すると、数十年以内に桜島で再び大きな噴火が起きる恐れがあるとしている。
姶良カルデラは南北約23キロ、東西約24キロのくぼ地。約3万年前の大噴火で形成され、桜島は南縁に位置する。マグマは地中深くから送られてカルデラの地下に蓄積され、さらに桜島へ供給される。桜島の地下にも一定量がたまっているが、大噴火前には大量のマグマが供給されると考えられている。
これまでも蓄積ペースの研究はあったが、高温のマグマに触れた岩石の周辺はマグマがたまりやすく、グループは姶良カルデラ地下の温度分布を考慮に入れて分析した。
死者・行方不明者58人を出した大正噴火で放出されたマグマの量は15億立方メートルとされる。今回 判明したペースなら、同じ量のマグマが蓄積されるまで130年かかる計算だ。
大正噴火からは100年余りが経過。桜島では1779年にも大規模な安永噴火が発生し、大正噴火との間隔は約130年だった。京大防災研究所の井口 正人 教授は「マグマの蓄積速度の計算で新たな解析手法を確立できた」と説明。大規模噴火の切迫性は高いとして、防災計画の充実が必要と訴えている。
毎日新聞 2016/11/ 3 西部朝刊
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