米メディア、外れた当落で「謝罪」「釈明」
毎日新聞
【ワシントン西田進一郎】8日の米大統領選では世論調査を基にした米メディアや専門機関の予測の多くが結果を外していた。共和党のドナルド・トランプ氏(70)の勝利が衝撃的になった一因だ。予測を外した米メディアや専門機関は、トランプ氏当選が確定した9日未明以降、「謝罪」や「釈明」を始めた。トランプ氏の勝利は世論調査や選挙予測の信頼性も揺るがしている。
「今晩がトランプ氏や陣営が望むようなものになるなら、世論調査会社も投票予測会社もつぶれますよ」。米CNNテレビのアンカー、ジェイク・タッパー氏は8日夜の選挙特別番組で、各種世論調査や予測に反してトランプ氏が優位な戦いを進めている状況についてコメントした。
CNNの世論調査などを基にした選挙人獲得予測は、クリントン氏が勝利に必要な過半数にあと2人と迫る268人、トランプ氏は204人を固め、残る66人の争奪戦だというものだった。東部ペンシルベニアや中西部ウィスコンシン州などはクリントン氏優位と判定し、争奪戦の対象である「激戦州」にもしていなかったが、トランプ氏は両州も獲得した。CNNに限らず、多くのメディアが投票日前の段階で、クリントン氏が過半数を既に確保しているか、過半数に迫るとの予測をしていた。
選挙予測で定評のあるバージニア大政治センターのラリー・サバト所長らは選挙前日の7日、最終予測としてクリントン氏が322人、トランプ氏が216人で圧勝すると発表。著名な「クック・ポリティカル・リポート」もクリントン氏が278人、トランプ氏は214人、激戦州46人としていた。
しかし、10日朝(日本時間同夜)には、トランプ氏が過半数を上回る290人を獲得し、クリントン氏が232人という結果は、当事者らを揺さぶっている。同リポートは「ひどい間違いだった。私の人生の中で最も衝撃的なことだ」と認め、どうして間違ったのかを「トランプ氏を嫌いだが、トランプ氏に投票した人たちの存在」など8項目を挙げて釈明する担当者の声明を発表した。
予測が外れた主要な原因としてあげられているのが、世論調査の電話にさえ支持を明かさない「隠れトランプ支持者」の存在だ。
予測が外れたサバト氏らは9日、「隠れトランプ支持者」の数を低く見積もっているとの指摘があったとしたうえで、「我々は信じなかった。我々は間違っていた。謝罪する」と発表した。USAトゥデー紙も「投票所に殺到したが、決して世論調査のレーダー上には現れない『隠れトランプ支持者』の数を過小評価していたかもしれない」と総括した。
一方、ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」も「『物言わぬ多数派』や『シャイなトランプ支持者』がいたことは無視できない」としながらも、調査の回答率が今回は極めて低かったことなどを指摘。「今後数週間で、何が機能し、何が機能しなかったのかを分析し、今後どうするかを検討する」と約束する記事を掲載した。
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