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忍のくぐり戸
昔、京都千本・安居院正安寺の住僧が、深交のある宗旦に一本の椿の花をおくろうと寺僧に持たせてやりましたが、途中で、その花を落してしまいました。やむなく、ありのままを告げてわびたところ、宗旦は、床の掛物をはずし利休作の「園城寺」なる銘の一重の花入をかけて椿の枝をいれ、その下に落花をおいて使僧を招き、茶を点じて帰しました。(『閑夜茶話』)。茶道に縛られた忍の寂光です。許し合う場を発見する人こそ、奥座敷の床の前に坐れる上客であったのです。
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