2月27日午後、国立西洋美術館で開催された19世紀フランス・ロマン主義の異才、テオドール・シャセリオー(1819-1856)の内覧会に出席していました。
フランスでも回顧展の開催は1933年と2002年のの2回だけというテオドール・シャセリオー(1819-1856)を日本で初めて本格的に紹介するマニアックな展覧会。
シャセリオーは11歳でアングルに入門し、アングルが「この子はやがて絵画界のナポレオンになる」と称した早熟の天才画家。16歳でサロンにデビューし、道半ばにして37歳で急逝したロマン主義を代表する夭折の画家。
ルーヴル美術館所蔵品を中心に、絵画、水彩・素描、版画、写真や資料などによってシャセリオーの画業全体が紹介されていてかなり見応えがありました。この画家から決定的な影響を受けたギュスターヴ・モローやピュヴィス・ド・シャヴァンヌ、オディロン・ルドンらの作品も展示されていて目の保養になりました。
16歳で描いた自画像の完成度の高さには感心しましたが、1834年から50年頃まで描いた「16世紀スペイン女性の肖像の模写」という作品はエル・グレコの娘がモデルだそうですが、シャセリオーの当時の恋人アリス・オジーにプレゼントした絵画。その後、彼女と諍いがありキャンバスの画面を切り付けて画家の手元に戻ってきたという曰く付きの絵画。仔細に観察すると修復した痕跡がみえました。
本展覧会では「カバリュス嬢の肖像」(1848年)が最高傑作だと思います。顔の表情がとても綺麗ですが、ドレスの描き方も瀟洒な感じがして素晴らしい出来映えです。
彼はデッサン力が卓越していて空間の取り方が絶妙。バルザックやリストとも交遊関係にあったそうです。シェイクスピアのマクベスから影響を受けた「黒人男性像の習作」という作品も興味深い作品です。
https://spice.eplus.jp/articles/87499
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