昨日、「北方領土」に関する記事の中にアイヌ民族で唯一国会議員になった萱野茂さんの言葉が出てきた。「北方領土はアイヌの国だった。持ち主であったアイヌの頭越しに、おれのだ、おれのだと引っ張り合いしているように聞こえるわけです」…択捉島の地図を示し、ここには314のアイヌ語地名が載っています、四島の島名もすべてアイヌ語、アイヌ民族の先祖が住んでいたところですと説いた萱野さんは10年前に亡くなられたが、福島原発事故が起きる5年前に「遺言」としてこんな言葉を残されている。
「原発は天に向かって唾を吐くようなことだ。吐いた唾は必ず、自分の顔に落ちてくる。」
原発事故が起きても尚、日本は天に向かって唾を吐き続けている。
◆領土交渉、アイヌ民族の問い 編集委員・松下秀雄
(2016年12月18日 朝日新聞)から抜粋
10年前に亡くなった萱野茂さんは、アイヌ民族でただ一人、国会議員を務めた人だ。参議院の会議録を開くと、日本とロシアの北方領土交渉をこう評していた。
「北方領土はアイヌの国だった。持ち主であったアイヌの頭越しに、おれのだ、おれのだと引っ張り合いしているように聞こえるわけです」
萱野さんは択捉島の地図を示し、ここには314のアイヌ語地名が載っています、四島の島名もすべてアイヌ語、アイヌ民族の先祖が住んでいたところですと説いた。
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日ロ両国は、アイヌ民族の地に国境線を引いて囲い込んだ。歴史を調べると、彼らがなめた辛酸が浮かぶ。たとえば1884年、日本は北千島の住民を色丹に強制移住させる。生きる糧を失い、病に苦しみ、大半が命を落とす。
重い民族の原体験。私がその立場なら、日本政府や「和人」側が島々を「日本固有の領土」という時、心穏やかにいられるだろうか?
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12711711.html?rm=150
◆萱野茂さん「原発は天に向かって唾を吐くようなことだ」
(2011年6月21日 風の便り)から抜粋
<脱原発を誓う:萱野茂さん追悼メッセージ 辻信一さん>
萱野さんはチェルブイリ事故の後、北欧先住民であるサーミの地を訪ねた時のことを話した。大地の上にあるすべてのものを同胞と見なす先住民族は、「大地を離れては暮らしていけない」ものであること、だからこそ、大地が汚染され、生態系が破壊された時に、最も大きな犠牲を強いられてきたのだということを、ぼくたちに思い出させてくれたのだった。
彼はこう言った。
「原発は天に向かって唾を吐くようなことだ。吐いた唾は必ず、自分の顔に落ちてくる。」今日、私はこれを遺言のつもりで言うんです、と彼は会議の前にぼくに漏らしたものだ。
また、講演の中で、彼はこんなことも言っていた。いくら悲惨な事故が起こっても懲りずに原発をつくり続けている人たちを見ていると、神様は、あまりにもおごり高ぶって、他の生きものたちのことを何一つ考えなくなった人間を滅ぼすためにこそ、ウランのような恐ろしいものをこの世に降ろされたのではないか、と思わずにいられない。そんな私の不安が当たっていなければいいのだが、と。
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